集団疎開と買出し

本土空襲後の都市部

1944年 7月、サイパン島が米軍の手に落ちました。米軍はグアム島、サイパン島、テニアン島に広大な飛行場を建設し、日本本土への攻撃の足がかりを作りました。1944年11月以降、日本の主要都市は何度も空襲により大きな被害を出しました。この頃になると都市に流入する食料や物資の不足が目立ちはじめました。都市の住民は子供達を田舎に集団疎開させ、食い扶持を減らす一方、地方出身の人達は、実家に帰って、食糧を調達するための買出しをして糊口をぬぐった。当時の雑誌には、庭に野菜や芋を植えましょうという宣伝がなされていました。空襲の間、一時的に避難するための防空壕を地元住民で掘ったり、火事が広がらないように一部の家を壊して空き地にするなど、被害をできるだけ減らすための対策がなされていました。記録映像で終戦後に買出し列車に大勢の乗客が乗っている場面がありますが、あそこに映っている方は、単に実家に帰って、短期間すごして、東京に戻る際、食糧を持って帰っているのです。また行商の方もいます。食糧や物資が不足し、都市が住みにくくなると、地方へ移住する人が増えるのは、今も同じです。

地方出身の東京人

昭和20年頃、東京の住民は、地元出身の江戸っ子は少数派で、多くは地方で食えなくなった農家の次男、三男を中心に東京で仕事を見つけ、働いている人達、東京に憧れた人達が多数派でした。初代の東京人は、親兄弟が地方に住んでいるため、出身地に戻れば親兄弟友人知人のつてを頼って、農家から食糧を買うことができました。TV東京の「なんでも鑑定団」で登場する美術品のうち、農家が持っているお宝のうち、いくつかは、戦後の混乱期に米と交換したというエピソードを持っています。農家の人達と親戚であるとか友人であれば、食糧の調達は比較的楽でしたが、縁もゆかりもない人は、食糧を確保するのに大変苦労しました。

平成日本の東京人は食糧確保に苦労する

戦後の混乱期と、平成米騒動が起こった年を除くと、都市に住む人はお金を払えば食料が買えました。食糧不足により価格が高騰すると、近所のお店で買えなくなり、農家から直接食糧を買おうとする人達が増えます。農家の人達は、どこの馬の骨か知らない人よりも、いつもお世話になっている人や、親戚縁者を優先させるのは、当然の判断です。区別であって、差別ではありません。今、現在、読者の皆様は、農家に知合いはいますでしょうか? いないという人が大多数ではないでしょうか。半世紀前の東京人と違って、東京で生まれ育ち働いていて、地方に知合いがいない人が多くなりました。地方に親類縁者がいても疎遠であったり、絶縁状態では食糧をもらえる可能性は少なくなるでしょう。

家庭菜園ブームが来るかもしれない

戦争中、食糧不足により皇居前広場や日比谷公園で、野菜や芋を作るために畑にしていましたが、都市部近郊の畑を細切れ(1坪単位)にして家庭用菜園として、自分達で食べる分は自分達で育てようという動きが復活するかもしれません。会社が倒産して路頭に迷ったサラリーマンが地方で農家の仕事を手伝って、現物支給してもらうというふうになるのかもしれません。1998年のロシア危機の際、とても体格の良いお婆さんが「年金がもらえないから死ぬしかない」と言っても、飢えて死ぬとは思えませんでした。友人の話では都市の郊外にけっこう広い畑で自分達が食べる食糧を作ったり、交換したりしているのだそうです。

平成時代の集団疎開、買出し列車

都市の治安悪化や食糧不足が深刻化すると、終戦直後のように、子供達は安全な地方に移住させたり、食糧確保のために買出し列車に乗るなどの光景が再び見られるかもしれません。外国では食糧不足のため、暴動や政権交代になっています。日本でもコメ以外の主な食べ物がどんどん上がってきました。収入が増えるどころか減っていく一方で、支出が急増していくと、最初は過去の資産を取り崩すことで対応できますが、生活レベルを次第に下がっていき、将来に対する不安がどんどん膨らんでいきます。秋葉原の事件でみられた「絶望」が広がっていくと言いますか、社会の秩序が乱れていく一方で、どんどん混乱の度合いを増してきた実感が、2008年になってから、いや物価上昇と足を合わせるように増してきています。そんな社会の情勢ではありますが、友人に今の気持ちを正直に言ったり、困っていることを相談したりするだけでも、不安感や焦燥感を減らすことができますし、未来に対する悲観的な予感が、少しは明るくすることができます。誰にも相談できずに悶々とした想いを持ち続けるよりは、ずっと良いですよ。年賀状程度しか交流がない親類縁者お友達に電話をかけてみたり、手紙を書いたり、久しぶりにあったりしてみてはいかがでしょうか。

橘みゆき 拝

主要アクセス先(2008/6/20)


トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.cyberuls.com/blog/mt-tb.cgi/7283

コメントする