金融機関の経営をめぐる虚偽のウワサが広まるのは止められない
アメリカの米国証券取引委員会(SEC)は、金融機関の経営を脅かしかねない虚偽のウワサを流す人達に対して取り締まりを強化するそうです。 倒産リスクを数値化し、証券化したものを市場で取引しているのに、その数字はSECが取り締まりを強化しようが一人歩きするだけです。倒産しやすい会社の社債が暴落するのを人為的に止めることは不可能で、下手に規制しようとすると、思わぬツケが出てきます。昭和時代の日本に君臨した大蔵省も万能ではありませんでした。
[ワシントン 13日 ロイター] 米証券取引委員会(SEC)は、金融機関の経営を脅かしかねない虚偽のうわさの流布の防止策を強化する。米株式市場ではこの1週間、米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)、米リーマン・ブラザーズなどの株価が急落している。 SECは週末に異例の声明を発表。その中で、ブローカーディーラーや投資アドバイザーが、市場操作を防止するための対策を設けているかどうか、早急に調査すると警告した。具体的には、虚偽情報の意図的な発信やその流布を防止するための措置を講じているかどうか、SECとニューヨーク証券取引所(NYSE)規制局、金融業界規制委員会(FIRA)の検査員が調べるという。 証券当局者は発表のタイミングについて、アジア市場の取引が始まる前にうわさを取り締まる強い姿勢を示すため、としている。当局者の1人は「商業銀行や投資銀行、政府系住宅金融機関(ファニーメイ、フレディマック)を脅かすようなうわさを阻止するためだ」と述べた。 SECは、うわさの流布や不正な空売りを通じて証券価格が意図的に操作された疑いのあるケースについてはすでにに公式な調査が開始されており、今回の発表された措置は追加的なものだとしている。 SECのコックス委員長は、調査の目的について「上場企業に関して信頼できる、正確な情報を投資家が引き続き入手できるようにするため」と強調した。
これって、あれですね。金融機関の経営を脅かしかねない虚偽のウワサの流布を、SECとかNYSE規制局が、うやうやしく認定してくれるってことですね! 死んだも同然の金融機関がまだ生きているから、その会社が発行する社債を、カモネギ状態の日本の機関投資家達が無邪気に何10億ドルも購入するのを防止したり、投資家の保護という観点からも、必要なことですもんね! さすが資本主義で市場万能主義の総本山であるアメリカですから、世界の見本となる行動をしてくれますもんね! そう、いつも自分で言っているじゃないですか! 日本が金融危機になった時に、さんざん文句を言った護送船団の復活させるとか、粉飾決算の薦めなんて、ありえませんもんね!!! ・・・ということを言うのが、去年の夏以降、アメリカやイギリス、欧州などではタブーだそうです。(笑 ・・・と、笑っていたら、翌日(7月15日)、さっそく、SECはヘッジファンドに召喚状を送ったそうです。
[15日 ロイター] 米国で個人による風説の流布で証券大手2社の株価が動いた可能性を調査している米証券取引委員会(SEC)は、50余りのヘッジファンドのアドバイザー宛てに召喚状を送付した。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が関係者の話を基に報じた。 この関係者によると、召喚状はベアー・スターンズ、もしくはリーマン・ブラザーズ・ホールディングス株の空売りとオプション取引に関する取引と通信のデータを求めている。 ベアー・スターンズの経営破たんと、今月のリーマン・ブラザーズ株の40%下落の要因として、このうわさがあったと指摘されている。 ベアー・スターンズとリーマンの双方の調査に関する召喚状を受領したヘッジファンド・マネジャーもいれば、いずれか一方のみの調査に関する召喚状を受け取ったマネジャーもいるという。 同紙によると、シタデル・インベストメント・グループやSACキャピタル・アドバイザーズなどが召喚状を受領した。 召喚状は先の証券2社との株取引や、ヘッジファンドとその他の関係者の通信に関連しているという。 同紙によると、召喚状は広範な調査の一環として送付されており、これを受領した企業は、必ずしも特定の疑惑の調査対象ではないとSECは企業側に伝えている。
ヘッジファンドの連中だって、商売のためだから、自分達が儲けるためなら、嘘だって言いますよ。この分だと、アメリカは911の時みたいに、言いたいことが言えない時代に戻ってしまいます。もう少し、歴史をさかのぼれば、バブル崩壊をもたらした犯人を捜すために、『赤狩り』を始めたといえます。国外では「自分が信じる自由」を押し付けるのアメリカだというのに、いざ自分の足元が揺らぐと、いとも簡単に『言論統制』すらやってのける、ダブルスタンダードな国です。
こう言えばよかったのか? もう死んだも同然の金融機関を、まだ生きていると虚偽の発言をしたり、増資計画があると虚偽の発言をしたり、FRBが救済してくれるだろうと希望的観測を伴う虚偽の発言をしてはいけないということですね! 死んだ金融機関に対して「お前はもう死んでいる」とか「倒産する可能性を株価が織り込んでいる」と言うのは事実を言っているだけだから虚偽の発言にはなりません。「あの銀行があぶなくなったら困るな!」こんな発言だったら、どうなる? さんざん憶測を書いて、最後に「・・・と、こういう失礼なことを言うヤツがいる。けしからん!」と1行追加しただけで、虚偽の発言ではなくなるのか? SECが言う虚偽のウワサというのは一体何なのでしょう? まさか、自分達の恣意的な判断が根拠ではなかろうな。
橘みゆき 拝
【関連HP】
赤狩り (Wikipedia)
言論統制 (Wikipedia)
原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書 249) 有馬 哲夫 (著) 出版社/著者からの内容紹介
一九五四年の第五福竜丸事件以降、日本では「反米」「反原子力」気運が高まっていく。そんな中、衆院議員に当選した正力松太郎・読売新聞社主とCIAは、原子力に好意的な親米世論を形成するための「工作」を開始する。原潜、読売新聞、日本テレビ、保守合同、そしてディズニー。正力とCIAの協力関係から始まった巨大メディア、政界、産業界を巡る連鎖とは----。機密文書が明らかにした衝撃の事実。
著者について
1953(昭和28)年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得。1993年メリーランド大学客員教授。現在、早稲田大学社会科学部・大学院社会科学研究科教授(メディア論)。著書に『中傷と陰謀』『日本テレビとCIA』など。
抜粋
プロローグ 連鎖反応
一九五四年一月二一日のことだ。アメリカ東部コネチカット州のグロートンで一隻の船の進水式が行われていた。船の名前はノーチラス号。海軍関係者の間ではSSN571と呼ばれた。完成の後、アメリカが誇る世界初の原子力潜水艦になった。
その建造にあたったのは、ジェネラル・ダイナミックス社。以前はエレクトリック・ボートという社名で、潜水艦を主に作っていたが、この頃にはジェット戦闘機や大陸間弾道ミサイルや原子炉まで製造・開発する軍事産業に成長しつつあった。
政府や軍の要人を含む二万もの人々が見守るなか、ジェネラル・ダイナミックス社のジョン・ジェイ・ホプキンス社長は誇らしげにこのような式辞を述べた。
「このノーチラス号はジェネラル・ダイナミックス社のものでも、原子力委員会のものでも、合衆国海軍のものでもありません。合衆国市民であるノーチラス号はあなたたちのものです。この船はあなたたちの船なのです」
引き続き関係者がそれぞれ挨拶し、ドワイト・アイゼンハワー大統領夫人メイミーがシャンペンのビンを割ると、船は勢いよくテムズ川(イギリスのものとは別の、地元グロートンにある川)へと滑り出ていった。この模様はアメリカの三大放送網(NBC、CBS、ABC)に加え、ラジオ自由ヨーロッパ、ヴォイス・オヴ・アメリカ(VOA)などのプロパガンダ放送、『タイム』、『ライフ』、『ニューズウィーク』を始めとするニュース雑誌、三五紙を超える新聞や業界紙によって伝えられた。
今日の目から見ると、これが連鎖の始まりだった。日本への原子力導入はこの連鎖のなかで芽生え、方向づけられていったのだ。
このニュースの一ヶ月ほど後、原子力の負の面を示す決定的な事件が起こった。三月一日、アメリカが南太平洋のビキニ環礁で水爆実験を行なったところ、近くでマグロ漁をしていた第五福竜丸の乗組員がこの実験の死の灰を被ってしまった。第五福竜丸事件である。これによって広島・長崎への原爆投下で世界最初の被爆国になった日本は、水爆でも最初の被曝国になってしまった。
やがて日本全国に原水爆反対平和運動が巻き起こり、原水爆禁止の署名をした人々の数は三〇〇〇万人を超えた。これは日本の戦後で最大の反米運動に発展し、駐日アメリカ大使館、極東軍司令部(CINCFE)、合衆国情報局(USIA)、CIAを震撼させた。
これら四者は、なんとかこの反米運動を沈静化させようと必死になった。彼らは終戦後、日本のマスコミをコントロールし対日外交に有利な状況を作り出すための「心理戦」を担当していた当事者だったからだ。
反米世論の高まりも深刻な問題だが、実はそれだけではなかった。この頃国防総省は日本への核配備を急いでいた。ソ連と中国を核で威嚇し、これ以上共産主義勢力が東アジアで拡大するのを阻止するためだ。
そのために彼らが熱い視線を向けたのが読売新聞と日本テレビ放送網という巨大複合メディアのトップである正力松太郎だった。
ノーチラス号の進水から始まった連鎖は、第五福竜丸事件を経て、日本への原子力導入、ディズニーの科学映画『わが友原子力(原題Our Friend the Atom)』の放映、そして東京ディズニーランド建設へと続いていく。その連鎖の一方の主役が正力であり、もう一方の主役がCIAを代表とするアメリカの情報機関、そしてアメリカ政府であった。
筆者はこの数年、アメリカ国立第二公文書館などでCIA文書を中心とする多くの公文書を読み解いてきた。なかでも「正力松太郎ファイル」と題されたCIA文書には従来の説を覆す多くの衝撃的事実が記されていた。
本書では、このような機密文書を含む公文書で知りえた事実を中心に据えつつ、日本の原子力発電導入にまつわる連鎖をできる限り詳細にたどってみたい。それによって、戦後史の知られざる一面を新たに照らし出したい。

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