インフレとは、物価の上昇が続いている状態のことをいいます。インフレになる原因は大きく3つに分けると、
(1) 需要インフレ
金回りが良くなると需要が増える。供給が需要に追いつかなくなったことによって起きるインフレ。世の中に流通するお金を増やして、需要を喚起するとインフレになる。
(2) コストインフレ
モノを創るために必要な材料費や人件費がアップすることで、生産コストが上昇する。そのため物価が上がる。為替レートが極端に円安に動いたり、石油や資源の価格が急上昇する場合もある。
(3) 公共価格の上昇など競争相手がいない状態で企業が利益を追求した場合もインフレとなります。
少し前まで、日銀はゼロ金利や量的緩和を行うことで市場に大量のマネーをばら撒いてきました。古典的貨幣数量説では、マネーサプライはGDPと相関関係にあるとされています。M=kPyの式から、マネーが流通する速度の逆数となる、マーシャルのkという数字が、インフレの指標となります。(M:貨幣数量、P:物価水準、y:実質所得) 貨幣数量Mが増えると、kが一定している場合、yの所得やPの物価が上がります。インフレが進むと買い溜めするためkが低くなるのですが、方向性としては物価も所得もアップします。そこで昭和時代の日銀がマネーサプライを増やしたり減らしたりして、景気のコントロールを行ってきました。
平成のデフレ時代になると、日銀が金利を下げても、マネーサプライを増やしても、借金の返済や、タンス預金や銀行の預金に化けてしまい、社会に還流しにくくなりました。貨幣数量Mを増やしたのに、マーシャルのkが上昇してしまい、物価も所得も増えないという事態になったのです。そういうわけで、近年、マーシャルのkは増加傾向が続いています。日銀が笛を吹いても景気が踊ってくれないのです。
今までは、現金を握ったままでも良かったのですが、ここのところ原油や資源、食料の価格がドルベースで上昇しています。幸い、極端な円安になっていませんので輸入インフレも、ドルベースに近い状態です。先ほどのインフレの種類でいうコストインフレの影響がしだいに増えつつあります。いわば、インフレとデフレが綱引きをしている状態です。
仮に高止まりしているk(=鈍いマネーの流通速度)が、低くなったらどうなるのでしょうか? 所得が上がりますか?違いますよね。・・・となると、M=kPyの式から、Pの物価が急上昇する局面が予想されます。そういう意味では、かなり厳しいインフレの直前だとも言えます。いい例えではないのですが、湿った焚き木の近くで子供が火遊びをしているのを黙って見ているようなものです。焚き木は本当に湿っていますか?もし乾いていたら、大火事になってしまいますよ。
橘みゆき 拝 2006/09/09
