森永卓郎は、2003年の春に「年収300万円時代を生き抜く経済学」を出版し、ベストセラーとなりました。この本では、リストラや賃下げが進んでいくと平均的なサラリーマンの年収が現在の半分の300万円に落ちることと、一握りの高所得組で心身をすり減らすよりも、年収300万円でも身の丈にあった生活をして、趣味や好きなことをして豊かな人生を送った方がよいだろうということを提唱しました。
1990年代まで安定した雇用が確保されていた時代、年収によってグループを分けると、「A=年収1000万円以上」、「B=年収300万円から700万円(いわゆる中流階級)」、「C=年収100万円以下(最低賃金のレベル)」と3つのグループに分かれていました。近い将来、一握りの金持ちがより稼ぎ、大多数の人が収入を減らすと予想されます。そうなると、「新A=年収1億円以上の経営者」、「新B=年収300万円台の正社員」、「新C=年収100万円程度のパートやフリーター」にグループが再編成されます。年収300万円時代は、新Bで生きるため、現在の支出を見直しをしていこうというものでした。収入が半減したら、支出も半減しないといけません。節約とか買い控えなども大切ですが、固定費の削減(家賃や住宅ローン、保険、車、通信費、教育費などなかなか減らせない項目を見直しして減らす)をすると効果が大きい。見栄という心の壁を乗り越えることと、家族で話し合い家計の厳しさを共有して、対策案を出し合うという過程が大切です。
しかし、就職難が続き、いったん会社を辞めるとなかなか就職できず、正社員になかなか採用されず、アルバイトで糊口をしのぐケースが増えています。中流階級から新Cに転落してしまい、なかなか新Bになれないのが現状です。年収100万円台では家賃を払えば、生活するのがやっとで、年金や医療保険を捻出することができず将来どうするのか、生活保護を受けた方がまだマシなのではないかと事態となります。働いても生活保護の受給者よりも収入が少ないのは、なんともやるせないことです。働けど働けど我が暮らしは楽にならないから、文豪はじっと手を見るだけでしたが、自暴自棄にならずに、なんとかしないといけません。
会社が倒産して、一家が路頭に迷ってしまったが、家族で一致団結して、なんとかしのいだという話をよく聞きます。一方で、妻や子供に見限られて孤独になってしまう話も聞きます。収入減少が起こってから対策を考えていたのでは遅いのです。いまのうちから、家族の絆を強めて、来るべき収入減に備えて、見直すことができる支出項目は何か、無駄な買い物をしていないか、人並みという言葉に騙されていないかを考え、家族全員で相談しながら、これからどうするかを決めても、まだ遅くはないでしょう。
橘みゆき 拝 2006/09/16

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