
連載コラム5「楽園ロタ島:太陽の恵みを活かす(前)」からのつづきである。
十分にある太陽の恵みだが、あるだけではダメで、上手く利用したい。そこで今回は太陽エネルギーをどう利用したら良いのか、ロタ島にフォーカスしてお話しよう。
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6.ロタ島での水素エネルギー
ロタ島には太陽エネルギーが十分にある。しかし、その持続的有効利用のためには守らなければならないいくつかの原則がある。
前回お話したように、太陽エネルギー(分散性)の有効利用のためには、石油など(集中性)と同じやり方ではダメなのだ。つまり、頭の切り替えと、全く違うテクノロジー(科学技術)が必要となる。にもかかわらず、今まで通りの(従って石油のための)やり方で押し通そうとすると、いずれ破綻する。それは自然の摂理に反するからだ。
ロタ島は世界最先端のテクノロジーによる、水素をエネルギー・ベースとする「水素の島」を目指している(注17)。これはどういうことなのか?
ロタ島に無尽蔵の水素があるわけではない。と言うより、宇宙で最も多量にある水素だが、大気の上層部以外には、地球上では単体ではほとんど存在しないのだ。しかし、酸素と結合した水(H2O)や、炭素と結合した炭化水素化合物(CH、CH2、CH3などの高分子:動植物など有機物の体を作り、石油や天然ガスの主成分でもある)の形では沢山ある。そこで、何らかの方法で水素を造り出さなければならない。その場合、水素はエネルギー源と言うより、エネルギーを運ぶ「キャリア」であり、貯蓄する「サーバー」なのだ。現状では水素を石油などから造ったり、水の電気分解などから得るわけだ。最終的にはこの水素を太陽光・風力・水力・バイオマスなどの太陽エネルギー起源のエネルギーを利用して造り出したい。つまり、色々な形の太陽エネルギーを水素の中に化学エネルギーとして溜め込むわけだ。化学エネルギーは密度の高い集中エネルギーなので、我々が使い慣れた石油やガスなどと同様の使い方ができ、とても便利だ。
しかし、エネルギーの形を変える(太陽エネルギーから水素エネルギーへエネルギー変換する)とロス(損失)が避けられない。故に、太陽光・太陽熱・間接熱・風・水・バイオマス(生物資源)などの太陽エネルギーを直接利用することをまず第一に考え、余剰分を水素へ貯蓄するようなシステムを構築したい。そうすれば、ロスを最小限にとどめることができる。
太陽エネルギーは水素ガスの塊である太陽での核融合エネルギーだ。その水素の核エネルギーを地球上で水素を使って運び溜める。これは筋の通った素晴らしいアイデアではないだろうか。
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7.「脱石油」の意味
現代社会でのひとつの理想は、フランス革命で標榜された「自由・平等・友愛」であろう(写真)。何かに依存している状態は不自由だ。現代の我々の生活はどっぷりと石油に漬かり、事実上石油に依存している。つまり自由ではない。また、石油は地球に偏在しており、それを持つ者と持たない者との格差は大きい。つまり不平等だ。さらに、石油を原因とした戦争や紛争が頻発していることはご承知の通り。友愛からはほど遠い。「脱石油」はそんな状態から脱し、「自由・平等・友愛」の実現をバックアップしてくれるはずだ。

石油の枯渇まで50年を切ったと言われる(注18)。石油と石油製品、さらには石油を使って作られる物や行為の価格は上がる一方だ。ロタ島では、100%輸入の重油で発電される電気料金が2006年8月から従来の2倍に値上げされた。そのため、多くの店舗では経費節約のためにエアコンも照明も切っているのが普通だ(写真)。

集中性という性質のために、エネルギーや資源として大変使いやすい石油だが、二酸化炭素(CO2)の排出問題などの環境負荷が大きい上に、間もなく使えなくなってしまうのでは致し方ない。できるだけ早く脱石油したい。
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8.脱石油はどう実現するのか?
では、脱石油のためには何をしたら良いのか?
まず、その場にあるエネルギーと資源を使おうではないか。その場にある物を使うことは、環境負荷が小さく、安く、そして新たな雇用を作り出せる可能性も大きい。色々な意味でメリットがあるのだ。
存在する物を徹底的に利用した上で、それでもエネルギーや資源が不足するなら、石油を使う。そんな姿勢で新たな利用システムを構築したい。(もちろん、島内にない石油を輸入するためには、観光などを含めて島内のニーズを越える生産を持つ何らかの産業が必要となる。)そうすれば、極端な石油依存から解放され、石油価格の上下に一喜一憂することもない。また、人類にとって有用な資源でもある石油の枯渇をずっと先へ延ばせるではないか。
その場にあるエネルギーと資源とは、再生エネルギーと再生資源(注19
)のことだ。「再生」とは使っても使っても新たに生じるという意味。再生エネルギーは、太陽エネルギーに地熱と潮汐を加えた物のことだが(注20)、実際には全再生エネルギーのうちの99.97%が太陽エネルギーだと言われる(図)(注21)。

つまり、火山地帯で地熱や温泉が豊富にある場所は例外として、一般的には太陽エネルギー起源のエネルギーである、太陽光・太陽熱・間接熱・風・水・バイオマス(生物資源)などを徹底的に利用することが肝要だ。そして、これらの中でバイオマスと水は唯一の資源でもある。つまり形のある物質資源ということ。故に、バイオマスと水の資源としての持続的な有効利用を考えることが、とても重要だ。
太陽の恵みであるバイオマスは、我々が利用しなくても成長し朽ちていく。我々がバイオマスを利用しなければ、その分、石油の消費量がどこかで増えていると言える。つまり、バイオマスの徹底利用とは、石油の消費量を間接的に減らすことなのだ。
特に森林資源では、まず大きく繁った立ち木のままの利用を考えよう。特にロタ島のように暑い場所では、涼をもたらす緑陰としての利用はとても重要だ。そして、木々の繁る素晴らしい風景を楽しみ、安らぎや冒険の場として、酸素製造やCO2固定工場(!?)として、さらには生き物の住み処として利用する。

木々を伐採した後は、まず大きな丸太を建築に使う。そして、家具、道具、玩具、紙と、次第に小さく細かくして、同じ材木を何度も利用する。これをカスケード利用(段階的利用)と言う(図)。

丸太から紙まではリユース(物の再使用)を繰り返す。つまり、何度も使い回すのだ。1度リユースすれば木材資源が2倍、2度リユースすれば3倍、3度リユースすれば木材資源が4倍に増えたことと同じ意味となる。つまり、リユースによって実質的な資源の量をどんどん増やせ、同時に石油エネルギーの使用量を間接的に減らせるのだ。(実は、水も同様である。)
紙のリユースとは、使用済みオフィス用紙の裏側をもう一度メモなどの用途に使ったり、新聞紙を断熱材などに使うことだ。かつて、弁当箱を新聞紙で包んだのは、新聞紙の断熱効果を利用したリユースの典型だった(…はずだ!?)。
しかしながら、紙のリサイクル(資源の再生利用)は要注意だ。森林資源はどんどん再生する資源であり、そんな再生資源のリサイクル(多くのエネルギーを投入する)に対して、私は懐疑的だ。森林資源をカスケード利用する社会システムができれば自ずと縮小するだろう(注22)。最後は燃料として燃やすかコンポスト化して肥料として利用して、木材利用のワンサイクルを終える。

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9.脱石油とは「衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立」のこと
これまでに、脱石油とは太陽エネルギーとバイオマス・水資源を持続的にしかも徹底的に利用することだとお話した。これは、言葉を換えれば、「衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立」のことだ。
つまり、ロタ島で目指すのはこの「衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立」だ。これらの要素をできるだけ島内で調達・生産・加工したい。やるだけやって、不足分を輸入する。少なくとも、輸入が止まっても日常生活に大きな支障が出ないレベルにまで持っていきたい。
そこで、ロタ島でまずやるべきなのは、太陽光・太陽熱・間接熱・風・水の持続的徹底利用とバイオマス(生物資源)の生産と獲得、つまり「農林水産業の見直し(狩猟も含む)」だ。

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10.バイオマス生産としての農林水産業
石油はエネルギーであると同時に資源でもある。つまり、物質としても利用することが可能なので、とても便利で有用だ。一方、太陽エネルギー起源のエネルギーの中では、バイオマスと水が唯一の物質資源である。つまり、この2つはエネルギーとしてだけではなく、資源としての持続的で徹底的な利用も考えたい(図)。ロタ島には本格的な川がないので、水は飲料水など、資源としての利用が主となる。

特にバイオマスの有効利用で大事なのは、農林水産業だ。農林水産業は太陽の恵みである(従ってタダの)バイオマス(農産物、森林、魚介類など)を我々のマンパワー(頭・手・肉体など人間の労働力)を使って付加価値を上げて売るなりわいだ。いや、元々はそうだった。いつの間にか我々は農林水産業に大量の石油を使っている。農薬、化学肥料、大型トラクター(写真)、大規模潅漑、大型漁船による遠洋漁業、生産物の長距離輸送、輸出入などがそれだ。

石油の投入を全くゼロにすることはできないし、またその必要もない。しかしながら、農林水産業の原点に戻ってゼロからの見直しをするなら(注23)、ムダな石油の投入をずいぶん減らせることに気付くだろう。
新しい農林水産業では、以下の基本原則を守りたい。
1)太陽の恵み(太陽エネルギー)を最大限に利用する
2)石油エネルギーと地下資源の投入はできるだけ抑える
3)マンパワー(人間の労働力)で大きな付加価値を付ける
4)余計な労働や経費の投入は避ける
5)所得と利益を増やすために不要な支出を減らす
6)売上と収入を増やすための生産増大は環境負荷と支出が増すのでダメ
7)石油の枯渇する50年後の将来を見越したシナリオを考える
8)生産者と消費者の幸せに結びつかなければダメ
9)気持良いランドシャフト(素晴らしい景観など)に配慮する
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11.ロタ島の農林水産業を興す
極端なことを言えば、ロタ島にはちゃんとした農業も林業も漁業も存在しない(写真)。つまり、太陽の恵みであるバイオマスを有効利用していないと言えよう。石油依存からの自立を目指すなら、第一にこの点を見直したい。

まずどこで何が可能なのかをリサーチすることから始める。
*農業が営める平地があるのか?
*水は?
*どんな作物が気候や土地に適しているのか?
*島内のニーズ(島民の求める物)は?
*林業に使える木々はあるのか?
*その持続利用は可能か?
*島のニーズに合うのか?
*大木がない場合、島内でラミネート(薄板を集めた集成材)の製造は可能か?
*島の周辺の漁業資源は、どこに何があるのか?
*十分な余裕をみて、その持続利用は?
*島内のニーズは?
*シカやヤシガニはどれくらい棲むのか?
*その持続利用は?
島のニーズもリサーチするが、今までのライフスタイルが将来も続くとは限らないので、要注意だ。次に、上の可能性を実現するために何をしなければならないのか、どんなノウハウとどれほどの資金が必要なのかを検討する。そしてそのノウハウや資金を提供できる個人や団体を探す。もちろん、島内や国内に見付かれば最高なのだが。

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12.ロタ島でのライフスタイルを転換する
太陽エネルギーの有効利用は「脱石油」のことであり、それは「衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立」を意味するとお話した。そのためには、ロタ島の「農林水産業の見直し」が重要なこと、さらには「ライフスタイルの転換」が不可欠であることも述べた。
*循環社会を目指す:
農業は家庭菜園など個人でできるレベルの物もあるが、本格的なものは島全体、さらには国全体でやる大きなプロジェクトとなる。林業も漁業も同様だ。
それに対して、「使い捨てから持続へ」のライフスタイルの転換は個人レベルで実現しなくてはならない。と言うより、政府などから「ああしろ、こうしろ!」と命令されたくないではないか。現状では、衣料はほぼ100%輸入、食料も建材も大部分が輸入だ。もちろんクルマも電気製品もそれを動かすためのエネルギーも100%輸入だ。そして、最後は大量のゴミを出す。理想は、島で生産された物で生活し、それが島に還元すること。つまり循環社会だ。
*ライフスタイルの転換とは昔へ戻ることではない:
「使い捨てから持続へ」のライフスタイルの転換は、昔の生活へ戻ることではない。もちろん、それが自らの幸せに結びつくなら、個人個人で判断してライフスタイルを昔風に戻すことに問題はない。私がイメージするのは、近代的で豊かな生活(もちろん、その内容については考え直さなければいけないが…)を実現しながら、石油依存から脱することなのだ。
*環境配慮とは窮屈な生活のことではない:
あれをしてはいけない、これをしてはいけない……と禁止だらけの環境配慮を避けたい。誰でも窮屈な人生は面白くないではないか。個人個人が自分の幸せや充実した人生のために何が必要で何がそれほど重要でないかを考え、大して重要でない物や行為を止めればいいのだ。
ある人は、クルマは不要だが、年1回の海外旅行はしたいと思い、またある人は、肉食は必要ないが、流行のクツは欲しいと願うかもしれない。そんな自由は何とか確保したい。
*環境負荷ペナルティーと環境貢献プレミウム:
その代わり、環境負荷の程度に応じてペナルティー(税金など)を課す。これを「環境負荷ペナルティー」と言う。また反対に、環境貢献に対してはプレミウム(補助金など)を出してバックアップしたい。これを「環境貢献プレミウム」と言う。
これらについては、いつか改めてお話したい。
*コンクリート造りの家について:
今のロタ島の住まいは、大型台風の頻発もあり、ほとんどがコンクリートかコンクリート製ブロックで建てられている。これらは通気性が悪く、昼夜を通してエアコンなしでは生活できない。また、自然光が入らないので、昼間でも照明が必要だ。さらに、コンクリートの家は建て替えの時の取り壊しが大変で、しかも大量のゴミが生じるので、結局、廃虚として放置される例があとを絶たない(写真)。

現状では、コンクリートの家は三重のマイナスポイントとなる。まず、島外から建設材料を輸入しなければならないのがまず第1点。現状のコンクリートの家は風通しと採光が悪く、昼夜を通してエアコンや照明を必要とするので、エネルギー消費量が大きく経費がかかるのが第2点。そして、建て替えの際にリユースができず、廃棄物が大量に生じ、その処理にエネルギーとお金がかかるのが第3のマイナスポイントだ。
ロタ島でのコンクリートやコンクリート製ブロックの家を全く否定するわけではないが、新しい建築材料を使うなら、新しい考え方と設計が不可欠なのだ。つまり、ロタ島の熱帯の小島という条件に配慮した、いや、最大限に利用した使いこなしだ。ただ単に材料を、今までの木材からコンクリートに変えただけでは、様々な問題を抱え込むことになるのは自明だろう。
確かに大型台風でも吹き飛ばされない家は重要だ。そして、そのために100%輸入に頼っているコンクリートが建材として最も相応しいなら、それを使うことも止むを得ない。しかし、少なくとも通風と採光には配慮したい。
*新しい考えのエアコンの提案:
また、盛大に電気エネルギーを使い( 注24)、騒音や振動も大きく、しかもそれほど快適ではないエアコンは、根本から考え直したい。涼しい家の基本は、まず緑陰、そして通風だ。さらに、大地や水の持つ間接熱の一種である冷熱を上手く利用した、省エネで快適な新時代のエアコンのアイデアもある。

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建築に絡んでゴミの話が出たので、次回は「ゴミ」についてお話したい。
2006年10月19日、スイス近自然学研究所にて
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注17)水素をエネルギー・ベースとする「水素の島」を目指している
詳しくは、この連山サイトで、水素触媒に関する世界的権威である市川勝氏(北大名誉教授)による「市川システムと水素文明」と題したコラムが予定されているので、そちらをごらんいただきたい。
注18)石油の枯渇まで50年を切ったと言われる
枯渇という表現は、実は正しくない。石油がなくなってしまうわけではない。事実、公表される枯渇年数は延びる傾向がある。新たに油田が発見されて埋蔵量が増えたり、技術の進歩で採掘が可能となることもある。さらに、原油価格の高騰で、投入エネルギーが多少多くても採算が採れるようになることもある。
しかしながら、これらには限界がある。採掘に投入するエネルギー量がそれによって得られる石油エネルギーの量より大きくなる時点だ。これは、経済からではなく、エネルギー収支から採算が採れなくなるという意味だ。つまり、いくら石油が存在していても使えないのだ。
現時点での可採年数が確認埋蔵量と生産量から計算でき、OPEC諸国で84年、非OPEC諸国で25年、合計すると49年となる(Oil & Gas Journal, 2005年末)。
注19)再生エネルギーと再生資源
ヨーロッパでは再生可能エネルギー(リニューアブル・エナジー)・再生可能資源(リニューアブル・リソース)と言うのが一般的。日本では最近、「自然」エネルギー、または「新」エネルギーという呼称があるが、石油も自然なエネルギーであり、太陽エネルギーは人類にとって最も古いエネルギーである。これらの呼称は誤解を生みやすい上に、日本でしか通用しないので、私のコラムでは使わない。
注20)再生エネルギーは、太陽エネルギーに地熱と潮汐を加えた物のこと
地熱は地球内部からの熱で、太陽熱によって暖められた間接熱とは違う。潮汐(ちょうせき)は地球と月との引力で生じる。つまり、この2つは太陽エネルギーとは無関係だ。潮汐エネルギーは、潮の満ち干での海水面の高さの差をエネルギーとして利用することだ。
注21)全再生エネルギーのうちの99.97%が太陽エネルギー
参考文献:「人間生活とエネルギー」押田勇、1985年、岩波新書、P146
注22)森林資源をカスケード利用する社会システムができれば自ずと縮小する
紙のリサイクルは、エネルギー投入量がバカにならない上に、紙のセルロース(木質繊維)が細かく砕かれて、使えるのは半分程度しかないとも言われる。残りは残渣、つまりヘドロだ。また、良質の紙にするためには環境負荷の無視できないブリーチ(漂白剤)やバインダー(接着剤)が必要となる。
多くの輸入材がジャングル(熱帯降雨林、または熱帯の密林のことで、動植物種が大変多様で豊富なため、エコロジーから大きな意味を持つ)の不法伐採による現状では、紙のリサイクルはジャングル保護の意味がある。しかし、FSCなどジャングル保護を目的としたラベリング(有機野菜、環境共生木材、環境配慮漁業など、特定の条件を満たしたものに与えられる認定証のこと)が普及すれば、リサイクルの意味を失う。最終的には、紙のリサイクルは、漂白しないトイレットペイパー、断熱材、梱包材などに限られることになろう。
注23)原点に戻ってゼロからの見直しをする
我々は往々にして一部分の具体的な改良や変更に終始しがちだ。それでは根本的な問題解決とはならない。そんなやり方を「ハシゴ段のつぎ足し」と言う。時代にそぐわないツギハギだらけの古いシステムはいずれ破綻する。新たな目的のためには、全く新しいシステムが必要かもしれない。そこで、具体的で現実的な細かい部分へのこだわりから一旦離れて距離を置き、原点に戻ってゼロから新たなシステムを構築してみると良い。思わぬ解決策が生まれ、それは意外に単純な物である可能性も大きい。それを実行するかどうかは、その後の問題だ。
注24)盛大に電気エネルギーを使い
電気製品などが使うエネルギーの総量は、瞬間的な消費電力とそれをどれだけの時間継続して使ったかによって決まる。つまり、「消費電力(kW)×継続時間(h)=電力量(kWh)」が重要なのだ。
瞬間的に大きな電力を使うのは、電子レンジ、エアコン、電気ストーブ、電気炊飯器、トースターなどだ。しかしながら、継続して使う時間はエアコンがダントツとなり、従ってエアコンのエネルギー消費量は他を圧する。(実は、電気ストーブもエネルギー消費量が多いのだが、ロタ島では問題外。)
逆に、瞬間的にはそれほどの電力を使わなくても、長い時間使われると、最終的に大きなエネルギーを使うことになる。電気炊飯器を1日中保温状態にしたり、カラーテレビやオーディオ装置をスタンバイモードにしておくと、少しずつだか、最終的には塵も積もれば山となるのである。

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